IS01のOSアップデート不可騒動に思うスマートフォン市場の未成熟性

昨日、auからIS01Android OS がメジャーアップデートされない、と言う方針が発表されたとのこと。発表された内容が広まるにつれ、あちこち(と言っても私が見てるのはtwitter2chくらいだが)で落胆の声、さらにはauを非難する声が聞かれた。私もIS01ユーザとして今回の発表は至極残念ではあるのだが、auを非難する声には驚くと同時に違和感をおぼえている。

私の知る限り、auが今までにIS01のOSをアップデートすると公式に発表したことはない。確かにアップデートを検討中であるとは言っていたと思う。それが、ユーザに過大な期待を抱かせていたのも事実だろう。だがauは約束はしていないし、シャープの開発者とおぼしき人物のtweetを見ても今日まで検討を続けてきたことに偽りはなさそうだ。にも関わらず一部のユーザは約束を反故にされたような言動でネット上で騒ぎ立てている。auにとっては、スマートフォン戦略に多少のインパクトは与えかねないほどの評判の下落を被ったと思う。

今回の騒動の発端となった、auからのアップデートを検討中であると言うメッセージ発信が詐欺的行為だと思われているのであれば非常に残念だ。彼らは状況をオープンにしてきたのではないか?その点については、むしろ称賛されるべきだ。auは今回の件を教訓にして、今後はもっとクローズになっていく恐れがある。現に、ほぼ同等の機種(LYNX)を持つ docomo は現在まで本機種のOSアップデートに言及したことはない。検討中であるかどうかも出てこない。これがユーザにとって良いことだとは、とても言えないだろう。

スマートフォンのOSは、無償でメジャーアップデートが提供されて当然だ、ユーザサポートの範囲だ、と思っている人もいるようだ。もちろん機能追加も含むOSのアップデートの余地はあり、戦略的にそれを無償で提供することもあるだろう。だがそれが当然だ、と言うのは違和感がある。たしかに、スマートフォン市場のリーダーであるiPhoneは先日、メジャーアップデートを無償で提供した。docomoXperia も提供すると発表したようだ。しかし、これはむしろ特殊な部類に入り、私は過去にWindows MobileスマートフォンPDAを使ったが、残念ながらiPod touch以外でメジャーアップデートが提供されたことは無い。当然と考えるのは早計だ。

また、一部のユーザは「OSの(メジャー)アップデートをしない=今後サポートをしない」と思っている人もいるようだが、これは勘違いだろう。auはそんなことは言っていないしできないはずだ。

そもそも、au はなぜ「メジャーアップデートを断念した」などと発表したのか。アップデートの約束などしていなかったのだから、なにも言わなければ今回の騒動のようなことにはならなかったはずだ。にも関わらず発表したのは、同じ日に次機種であるIS03の発売日の発表、さらにはIS03のメジャーアップデートの予告を行ったことから見ても、「新しいAndroidのOSを使いたかったらIS03にしてね」と言うメッセージが裏に隠れていると考えるのが自然だ。まったくマーケティング戦略としては妥当だ。だが同時に、auは、ほぼ無償提供で膨れ上がった既存機種(IS01)ユーザの落胆の声の大きさを見誤った、と言うのが本当だろう。

スマートフォン市場が立ち上がったばかりで、ユーザもメーカ・キャリアもまだまだ成熟していない。そんな事を大いに感じる日であった。